首都圏の鉄道が雪に弱い理由

こんにちは!整備士ブロガーtmkです。

季節は2月に入ったばかり、これから何度降雪予報が出るたびに我々鉄道マンは除雪に駆り出されるのかヒヤヒヤしております。

というわけで今回は首都圏の鉄道が雪に弱い理由について、説明していきます。

よく雪国に住まわれている方が関東で過ごしていると、首都圏の鉄道はたかだか数センチごときの雪で大騒ぎするのかと疑問に感じたりしたりしませんか?

やはり鉄道は定時運行こそやはり最大のメリットである鉄道が、雪ごときに?と思いがちですが実は雪は雨以上に厄介なんです。

今回はその理由について説明してまいります。

雪が降らないから対策が限定される

最初に首都圏は雪が降りにくい地域です。

雪国との違いを比べると、首都圏で雪が降る条件となると南岸低気圧といい、冬場に低気圧が太平洋側を南寄りに通過したときに降雪しやすいといわれています。

しかし冬場は日本海側は雪で太平洋側は晴れが多いのです。

そんな日々が続くので、日常的に雪が降る地域とは全く条件が違うことを理解していただけましたでしょうか?

雪が降らなければ、首都圏の鉄道会社が雪への対策に使うお金が限定的になるのはしかたのない事です。

雪国の装備をそのまま首都圏に持ち込むと、勿論電車が乱れることは少なくなりますが、コストが増大してしまい会社の運営に大きな影響を与えてしまいます。

雪対策の過剰な設備投資が必要最低限になるのも納得がいきます。

決して雪に全く対策していない訳ではありませんが、ある程度の雪には備えているけれども、何年かに一度振るような雪には対応しきれないといったところです。

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雪がもたらす運行への影響

雪によってもたらされる運行への影響は、様々です。

そこで考えられる影響のなかでも代表例を下記のリストにしました。

雪による運行に影響を及ぼすもの
  1. 分岐部分(ポイント)に雪が挟まり、ポイントが故障する
    • 正しい方向に開通しないと安全に通過できない為
  2. ブレーキに雪が挟まり、ブレーキの効きが低下する
    • 耐雪ブレーキというブレーキを予め車輪に密着させるシステムがある
  3. 雪の重みで沿線からの倒木による設備破損
    • 急な雪による重みに耐えかねて倒木が発生し、架線や設備を壊す
  4. 雪がレールと車輪の間に挟まって摩擦力が低下
    • 摩擦力が低下し、坂道を登坂できない

それでは一つずつ説明してまいります。

分岐部分に雪が挟まり、ポイントが故障する

実は鉄道が走行するための重要な部分である分岐器(ポイント)は雪に弱く、この部分が正しい方向に開通しないと実は通過させることが出来ません。

なぜなら分岐先のレールと密着していないと、脱線の恐れが出てくるのです。

雪がある程度降り積もると、線路が見えなくなるぐらいまで積もったとしましょう、するとトングレール部分に雪が挟まることで電車の進むべき進路が構成できなくなります。

するとどうなるかというと、向かうべき方向を示せなくなると安全の担保が保てなくなるため信号機は「赤」を表示したままとなります。

一刻も早く取り除いてあげないといけないのですが、これには人を呼んでスコップで取り除くという人海戦術が必要になってきます。

予め除去しておくのも策としてありますが、これも人の作業が必要になります。

これが雪国であれば、電気融雪機という雪を解かす装置が働いてポイント周辺を溶かしておいて雪が挟まるということをあらかじめ防止できます。

雪国で鉄道を利用された方なら一度は見たことがあるかもしれませんが、ポイント部分に雪が無いのは融雪させておいて分岐による進路の確保を確実に行う為なのです。

ブレーキに雪が挟まり、ブレーキの効きが低下する

雪が台車周りに付着することで発生する事なのですが、雪がブレーキと車輪の間に入り込んでしまう可能性があります。

するとブレーキを効かせようとしても、ブレーキが車輪やディスクを完全に挟み込むことが出来なくなります。

すると圧力をかけているにも関わらず、ブレーキが効かないという非常に危険な状態へ陥ります。

そうなると駅の指定された停止位置に停止が出来なくなり、オーバーランによる位置修正やブレーキが正しい力でかけられる限度が低くなるために速度制限を設けなければならず、正常運行に支障をきたします。

そうならない為に冬場は「耐雪ブレーキ」という予め車輪やブレーキディスクにブレーキをほんのわずかに効かせた状態を作っておいて、雪の侵入を防ぐことで正常なブレーキ力を保てる対策を取っています。

雪の重みで沿線からの倒木などによる設備破損

これは雪国でも起こりうることでありますが、首都圏で雪が降ると起きてしまうのは鉄道敷地内だけで起きうる事象だけではありません。

それが何かというと、雪の重みで沿線にある木が倒れることによって鉄道敷地内に入り込んでしまうことです。

雪の重みを侮ってしまうのですが、実はメンテナンスされていない木へ雪が降り積もり始めると首都圏に降る雪は比較的水分を含んだ湿った雪質な為、かなりの重量になります。

すると雪の重みが原因で、鉄道沿線に密集地帯がある場所では茂みや住宅があるのが普通なので倒れてしまうとあっさり鉄道敷地に影響を及ぼします。

するとどうなるのかというと、倒れた木が設備に接触して架線を切断したり切断しなくとも敷地内に入り込んだ倒木を除去しなければならない為、遅延が拡大していきます。

雪がレールと車輪の間に挟まって摩擦力が低下

鉄道は鉄の車輪とレールが摩擦することで走行しています。

鉄と鉄同士でも摩擦係数が高いわけではないのに、雨や雪が降るとさらに著しく低下します。

特に雪の場合は、摩擦力を維持できなくなることで坂道を登れなくなります。

これは車輪とレールの間に氷などの水気が挟まることでうまく車輪の回転をレールに伝えることが出来なくなります。

そうなるとただただ車輪が回転し続けることになり、平地でも車輪が空回りし始めてしまいます。

坂道であれば登坂(とはん)できなくなり列車遅延につながるほか、モータへの負荷が空回りによって大きくかかり続けるので車両にも良いことがありません。

それを防止するために電車側から砂を車輪とレールに吹き付けることで、摩擦力を維持して登る方法があります。

電気機関車は重量があるのと動力がその機関車にしかない為、採用されています。

しかし全ての鉄道車両に砂を撒く装置が、装備されているとは限らないのです。

最後に

雪の対策は地域によって大きく違うのですが、徹底的に対策されているのは常に雪が降る地域です。

最初にも言った通り首都圏は雪の降る頻度が少ないと、そこまで費用を避けることが出来ないのです。

いざという時は人海戦術を使って、安全運行を維持するために除雪部隊が組成されます。

私も経験ありますが、雪降る中ひたすら除雪作業を永遠とやっていました。

寒い上に往来する電車の音は雪にかき消されているので、見張りは作業をさせずに列車の往来を監視します。

見張りは列車に接触させない為、非常に監視に気を使います。

そんな危険なリスクを背負いながら雪の日は定時運行のために鉄道マンは闘っています。

どうか見えないところで定時運行に戻すために、一所懸命に働いている鉄道マンがいることを雪が降っているときに思い出していただければ幸いです。

ここまで見て頂きありがとうございました。

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